

送電事業センターの工事部は、創業時より続く送電線工事を担う部署です。私たちが担当するのは、市街地や山間部に建設される、重要なインフラである超高圧送電線の建設であり、建設現場までの資機材搬入ルートの「仮設工事」、送電鉄塔の土台部分の建設である「基礎工事」、そして送電鉄塔の「組立工事」、送電鉄塔間を電線でつなぐ「架線工事」と、電気を開通させるまでの全てに携わるのが私たちのミッションです。工事の規模にもよりますが、短いものでも10ヶ月ほど、複雑かつ大規模な工事ともなると3年を超える工事にもなります。私たち管理者は、工事計画から施工管理、資機材の手配や安全管理などが主な仕事。安全・品質管理について作業員に正しく伝わっているか不安になることもあり、工事の安全と品質を確保するためには、まず、すべての関係者とのコミュニケーションに努め、作業員の方々が効率よく作業できるようにすることが大切です。

規模の大きな仕事では、多くの協力会社や弘電社の管理者が関わり、さまざまな困難を乗り越えて完成に向かって行きます。建設した送電鉄塔に電線がつながり、お客様とともに送電に異常がないことを確認できたときは、大きな達成感と安堵に包まれる瞬間です。そのためには、仮設工事から架線工事のすべての過程において検査を確実に実施し、品質を確保しながら次の工程に進める必要があります。かつて管理者として従事した工事では、私が初めて自分で考え、現場の作業員に指示する場面がありました。連日の大雨で鉄塔基礎が水浸しとなり、重機も動けず途方に暮れていた時に作業員から打開策となるヒントをいただき、現場にある工具を確認し、排水を指示して困難を乗り越え、無事に工事を進めることができました。そうして生まれた、たくさんの人による仕事の証は、半世紀にわたって目に見える「鉄塔」として残り続けていくのです。

出社
一日のスケジュール、タスクを確認して業務を開始。現場作業開始
現場作業員に安全確認を行い、危険な箇所を周知します。また、作業員の配置や状況を確認し、現場の安全を確保していきます。お昼休憩
お弁当を持参する人や、近場で外食をする方もいて、それぞれの過ごし方があります。現場作業再開
現場は常に動いているため、お客様からの急な相談や問い合わせにも、電話やメールで迅速に対応します。工程の打ち合わせ
協力会社の方々と月間の安全工程の打ち合わせや、翌週の作業内容を確認。スケジュール確認を行うことで、現場作業をスムーズに進めることができます。現場片付け・終礼
その日の作業を終え、現場の清掃・後片付け・施錠まで確実に行います。終礼で一日の報告と翌日の作業内容を最終確認をします。事務作業・退勤
必要に応じて書類・掲示物作成・写真整理などの事務仕事。その他必要な道具の準備をして退勤します。

送電線の建設は「電気が通ればよい」というものではありません。日々の作業には、重機操作ミスによる怪我や山間部での滑落といった危険が潜んでいます。そうしたリスクを事前に洗い出し、未然に事故を防ぐことが何よりも大切です。特に高所作業においては、安全用具の使用状況を常に監視し、作業員の安全を守らなければなりません。作業員たちが一丸となって知恵を出し合い、緊張感を持って作業にあたるからこそ、全員が無事に地上へ降りてきたときには大きな安堵感に包まれます。「安全に電気を通すこと」の実現。それが私にとっての創造する喜びです。
現在私は、技術員という立場で現場に関わっています。今後は安全担当や技術担当の立場で、仕事を任されるようになっていきたいです。技術員と担当の違いは、工事の安全と品質を見る視野の広さにあります。私たち技術員は、作業員の意見や仕事風景から安全や品質面での課題を考えていきますが、担当になれば工事全体を見る広い視野が求められます。これからも現場で知識・判断力・技術計算力などを磨いていき、全体を俯瞰できるほどの視野を身につけ、いずれは現場代理人として、大規模な送電工事に携わっていきたいです。